紀伊半島の環境保と地域持続性ネットワーク 紀伊・環境保全&持続性研究所
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  「害虫防除の常識」     (目次へ)

  1.害虫とは

  1)発生の仕方から害虫を類別してみる

 農作物に被害を与える昆虫や、ダニ、センチュウ、ナメクジなどを一般に害虫と言う。圃場に生息しているが、被害を与えない昆虫等については、「天敵」、あるいは「ただの虫」と考える。「ただの虫」は、雑草など農作物以外のものを餌とし、天敵の餌となって天敵を養ってくれる場合がある。

 害虫については、幾つかの分け方がある。まず、農作物を栽培すると、必ず発生する「常発性害虫」、時々突発的に発生する「突発性害虫」、通常はほとんど被害を与えずに低密度で生息している「潜在性害虫」という分け方がある(図1)。

 害虫防除を考える場合には、「常発性害虫」を主なターゲットとして薬剤の準備や、いつ、どのように防除するかの作戦を立てる。「突発性害虫」に対しては、よく圃場を見回り、これに該当する害虫が発生し始めていないかを注意して観察する。また、農林水産省の全国予察情報や各県の病害虫防除所などが出す発生予察情報にも注意を払う必要がある。「突発性害虫」については、発生が増加ししてきた時点で、必要に応じて防除を実施する。「潜在性害虫」については、通常の薬剤防除が実施されている圃場では、常発性害虫に対する防除によって同時に防除されているか、あるいは天敵が多いために抑えられているか、あるいはその作物の品種や栽培方法では増殖しにくいと考えられ、通常、経済的な被害を生じないような低密度で推移している。

 この分け方では、作物の種類、栽培時期、露地栽培か施設栽培か、圃場のある地域や場所、防除圧の程度(通常の薬剤防除をする慣行栽培、減農薬栽培、あるいは有機栽培)、品種を含む栽培管理の違いによって、それぞれの圃場で、常発性害虫か、突発性害虫か、潜在性害虫かの位置づけが変わる場合があるので、各自の圃場で害虫を上記の3つのタイプに類別してみるのも、防除計画を立てる上で重要である。                 


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